闇を疾走する美学の極致――Suedeが提示する新たなポストパンクの金字塔『Antidepressants』

90年代のブリットポップ狂騒を生き抜き、再結成後は過去の威光に一切頼らず傑作を生み出し続けているSuede。通算10作目となる本作『Antidepressants』は、前作『Autofiction』から続く“モノクローム三部作”の第2弾であり、彼らが現在進行形で進化を遂げていることを示す圧倒的な意欲作だ。

前作のエッジィなパンク・サウンドを継承しつつ、今作ではPost-punkやGothic Rockへの傾倒をさらに強めている。ソリッドで切り裂くようなギターリフ、硬質なリズム隊、そしてBrett Andersonの妖艶で切迫感に満ちたヴォーカルが見事に融合。現代の孤独や人間関係の断絶をテーマにしつつも、ただ暗闇に沈むのではなく、どこか生への執着とカタルシスを感じさせる疾走感がたまらない。

フェスやクラブのフロアで炸裂すること間違いなしの「Disintegrate」や「Trance State」のようなダンサブルかつダークなトラックは、間違いなくライブの新たなハイライトになる。キャリア30年を超えてなお、これほどハングリーで尖ったロック・アルバムを叩きつけてくるバンドがほかにいるだろうか? ベテランの貫禄ではなく、初期衝動のアップデートで魅せる神盤だと思う。

アートワークの強烈さも語り草だ。Brett Andersonが上半身裸でたたずむモノクロ写真は、写真家John DeakinによるFrancis Baconのポートレートへのオマージュ。肉体性と肉迫するエモーションがそのまま音に刻み込まれている。

今日の一枚
Suede / Antidepressants

収録曲
1.Disintegrate
2.Dancing With The Europeans
3.Antidepressants
4.Sweet Kid
5.The Sound And The Summer
6.Somewhere Between An Atom And A Star
7.Broken Music For Broken People
8.Criminal Ways
9.Trance State

  1. June Rain
    11.Life Is Endless, Life Is A Moment

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